Ghost like girlfriend

TestifyColumn

2018.8.15.PM26:53

数日前より地元の兵庫県は淡路島に来ている。
いつも自宅で書いているこの文章も、実家にある両親の仕事場で今書いている。
いつも帰っても半日、もしくは一泊してすぐに帰るから、一週間とこんなに長く居るのは5年ぶりの事で自分でもびっくりしている。

最後に地元ではないながら関西に帰ったのが今年の3月。
帰り際に大規模な停電が起こって新幹線が運転停止、24時間営業のスーパー銭湯に急遽行ってほとんど寝ないまま始発で東京に向かい、その脚で「WITNESS」のレコーディング初日を迎えるという珍事に見舞われた。

だから今度こそゆったり過ごしてリフレッシュしたい気持ちと、今やっている次作への制作に必要な空気が地元にありそうな気がしたから今回こうして戻って来た。
音楽を作る為に音楽を一旦忘れようと思ったし、今までこの街でそれをしていたから、それをしにやって来た。

やって来たものの、今のところほとんど出来ていない。
TVを観れば淡路出身のモデルがCMに主役で出ており、母や誰かが口を開けば淡路出身のユーチューバーの話になり、本屋へ行けば淡路出身の漫画家の作品がズラッと並べられている。

地元ながら、この5年しっかりと街を歩いたり眺めたりしていなかった。
故に、街がフィーチャーするほどの誰かが色んな界隈に現れている事を知らなかった。
東京でも淡路島出身という人に出くわす事が全くと言って良いほど無いので、結構な衝撃だった。

基本的にどこもそうだろうけど、この街は昔から良くも悪くもミーハーな街だと、昔から思う。
全国的に少し名が知られて来た人や、もしくは無名ながら何かしらの凄い賞を獲った人を街は応援しはじめる。
昨日街中を歩いてみると物凄い数居るわけではないものの、今までで一番そういう誰かが居る事を知った。
その中にGhost like girlfriendは居ない事を知った瞬間、「悔しい」と今年の中で一番思った。圧倒的に一番だった。

数日前に地元へ向かうバスに乗る前に、神戸にて中高時代のある先生に偶然出くわしていた。
世間話を交わし合った別れ際に言われたのが「早く頑張ってメジャーになってくれ、でないと応援していると言えない」だった。
悪気がないとは分かっている、分かっている、分かってはいる、分かってはいるものの、だ。
この何とも言えないエールが数日前までの今年1位だったが、晴れて昨日2位にランクダウンした。

走っているレールからして違うから競争にもならないのに、この周回遅れのような気分は何なんだろうか。
東京はどの界隈にも底知れない数の人数が居て、それ故に走っていてもレールがすし詰め状態、自分の立ち位置が曖昧過ぎて逆に気にならなくなってく。
だからマイペースに走れるけど、ここは走っている人が少ない故にはっきりと立ち位置を知らされてしまう気分になる。
まあつらつらと書いたが、要は全く心が休めない。
自分の感覚だから自分次第である事は勿論なものの、気にしてしまって仕方がない。

家から歩いて数十秒の場所に公園がある。
高校生の頃、放課後や夜にそこへ行っては、自分が出せる最も小さい音量で鼻歌を歌って曲を作ったり、歌詞を書いたり曲を作っていた。(恥ずかしかったから)
帰省する度にベランダから覗いたり、ほんの少し歩きに行ったりはしていたものの、そこで曲を作る事は高校以来していなかった。
久しぶりにやってみるかと当時と同じ夕方に立ち寄ったものの、何せ6年も前の事で感覚が思い出せず、結局断念した。
その代わりに「WITNESS」を、公園の外周を歩きながら聴く事にした。
ここで暮らしていた頃の事を思い出して書いた曲を、ここで聴くとどうなるのか試してみたかった。

さっき書いたように街並みや誰かの話す話題は移り変わっても、街の匂いというのはなかなか変わらない。
公園周りの田んぼの匂いと合わせて聴いた時に浮かんだのは学校と音楽の事だった。

移動教室の時、10分間の休み時間に友達に「先に行っとく」と嘘をついて、どうしても今聴きたくなった曲をトイレで聴いた時の事。

それと、どうしても出たくなくて授業をサボった時に、普段誰も通らない階段で音楽を聴いていると、普段怖い先生に見つかった。
怒られるかなと内心で身構えたら、「あんまりサボるなよ」と笑って黙ってくれていた事。

2つともそれまで忘れていた事で、掘り起こしたように急に思い出されてびっくりした。
それが証明になるのか分からないけど、ちゃんと色んな時間や気持ちに向き合ってアルバムを作れたのかなと思って安心した。
あと数日で東京に戻る。
東京に居る時以上にヒリつく時が多々あったし、リフレッシュ出来たかどうかがあまりよく分かっていない。
(実家の猫4匹に触れている時と、作ってもらった料理を食べている時は確実に出来ていた)

こんなスパルタ的に自分を見つめ直す場所に自分の中で様変わりしたのは何とも言えないけど、おかげで根っこから仕切り直せるというか。
ある意味本当の意味でリフレッシュ出来る場所になった。

上手くいけばまた年内に帰って来れる気がする。
帰って来るまでに進んでる話や決まった話が出てくると思う。
それもこれも自分次第だから、すし詰めのレール内で自分なりに急かしながら進めたらと思う。
そして休み時間のトイレや授業中の階段に、あの時の自分のような誰かが居たとして、その子にも選んでもらえるような音楽を作れたらと改めて。

まあとにかく頑張るから淡路島よ、早く見つけて俺を推せ。

2018.8.16.AM4:37

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