Ghost like girlfriend

TestifyColumn

2018.11.8.PM21:40

先週に続き「WEAKNESS」から「雨降る夜にさよならを」についての話を。
Ghost like girlfriend名義で今のところ10の楽曲を世に出している中で、この楽曲が最も古い楽曲になる。

ここで何度も書いている通り、17歳から20歳まで所属していた事務所を辞めたのが2015年の春、大学3年になる少し前の頃だった。
かなり前の事だからさすがに諸々おぼろげながら、この辺の時期はもう色々とグチャグチャだったのを覚えている。
唯一誇りを持てていて、それ故に持てる自信全てをつぎ込んでいた音楽を身内からへし折られるかのような真似をされて自己肯定感が一ミリも無くなってしまった。
何を以ってすれば自分は世の中に通じるのかが本当に分からなくなって、家から一歩も出られなくない日もあって、当時付き合ってくれていた彼女が心配して家へ来てくれるも言葉が浮かんで来ず、心配だけ掛けて帰らせてしまう事もあった。

埒があかないと1〜2日ほどだけ、ほとんどの連絡先を着信拒否にした状態で突発的に大阪へ太陽の塔を観に行った。
上京当時にオードリーの若林さんが書いた「社会人大学人見知り学部卒業見込み」という本を買って以来、苦しくなる度読み返していて、太陽の塔に関するページを読み返して無性に観たくなって向かったのを覚えている。
その帰りに漫画家を目指していた中学の頃の同級生と合流して近況報告をし合った。お互い自分のしたい事に絶望、というより疲弊しきっていて、乗り気でないながらもう就職活動をしようか考えている、というのがお互いの話のオチだった。

4月。
大学3年になり、同級生の中には就職をもう意識して生活を送る奴もいた。
音楽活動を応援してくれていた両親に事務所を辞めた事を告げると落胆したような声色で励ましてくれた後、しばらくして「どうするの」と聞いてきた。
その時俺は有耶無耶な声色で「就職しようと思っている」と答えた。
かといって何か調べたりする訳でもなく、大学の先生に進路を聞かれたら聞かれたで「音楽をやっていく」とやる気ももう無いのに答えたり、何一つ芯のない感じが音楽を始める前の自分に戻ったようで嫌だった。

1年の頃から授業が被ったり放課後遊んでいた同級生が会うなり、「俺が健勝のライブ行った時に一緒に観たバンド、こないだテレビ出てて今度メジャーデビューだってね」とびっくりした様子で話しかけてきた。
そのバンドとは以前よくライブを一緒にやったり、たまにメンバーの子と遊んだりする仲であった。
だから当然デビューする事も知っていたけど、祝福できるようなコンディションを情けない事に持ち合わせてなくて、知らないふりをして早々に話を終わらせてしまった。

花火がもうすぐ終わってしまうような感覚がずっと暮らしの中にあってむず痒かった。
毎日毎日「そろそろかな」と思いながら暮らすのはあまり良いものではなく、時には耐えがたいものだった。
2ヶ月ほどそういう感覚を背負いながら過ごしていたある日。
帰宅して荷物を降ろす際に服の袖がギターの弦にぶつかって、ギターの音がふいに鳴った。
久々にやるかと静かに弾いてみるとやっぱり楽しくて、そのまま1分くらいの曲を書いた。
どうしてもしっくり来る感覚が無視出来ず、もう少し続けてみたいと思って、翌日ライブハウスに「ライブをしたいです」と連絡した。

間も無くして、就職する前に音楽を全うしよう、その為に悔いのないアルバムを作りたいという考えが芽生えて、再びライブ活動や作詞作曲を始めた。
やり方が全く分からないけどやってみたいからやるんだと、編曲も始める事にした。
状況はまるで変わらないのに、嘘のように視線が上がったから景色が変わってみえて、やる気も笑いそうな程みなぎって、決意と希望というものの凄まじさを実感していた。

しっかり音楽を全うする為にと書いたのが「雨降る夜にさよならを」。
詞曲が出来たのが2015年7月23日、20歳最後に書いた楽曲だった。
この曲で初めて編曲をして、ちゃんと出来てるのか分からないけどでも楽しくて、取り敢えずじゃあ次の曲もと続けているのが今にまで続いている。
いつか分かる日が来るのかなと思いながら、未だに編曲の仕組みはよく分かっていない。
只楽しかったり、面白かったりする方を選ぶ事を続けていると音がちゃんと出来上がっている。
逆にちゃんと真面目にやろうとすると一向に出来ない。

色んな意味で原点というか、始まりになってくれた一曲。
楽しい事をずっと続けているからこの曲を作った頃から時が止まっているような感覚になる事が本当にたまにある。
でもむしろ、進めてくれている事にその後すぐ気付いて、あの頃悩み切った上で音楽を続けると決めて、この曲を書いてくれた自分に「有難う」と言いたくなる。
どんな苦しみや闇も逃げ切ってみれば皆、笑い話と呼べると教えてくれた。

2018.11.8.PM22:48

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